背景
AIエージェントの進化は目覚ましく、トークン送付、DeFiオペレーション、NFT操作といったオンチェーン取引においても、AIエージェントが実行主体となるケースが増加しています。しかし、企業がAIエージェントに資産操作を委ねるには、「誰が」「どの範囲で」「いつ」操作を許可したかを記録・制御するガバナンスの仕組みが不可欠です。従来のウォレットソリューションは人間の操作を前提としたGUIが中心であり、AIエージェントがプログラムからトランザクションを発行しつつ、人間による監督を組み込むインターフェースは十分に確立されていませんでした。「N CLI」は、こうした課題を解決し、AIエージェントの行動力を企業のガバナンス下に置きながら安全に運用するためのツールとして開発されました。
「N CLI」の概要とHuman-in-the-Loop型ワークフロー
「N CLI」は、「N Suite」の実績ある企業向けウォレット基盤に対する操作インターフェースです。AIエージェントが発行するトランザクションに対して人間の承認プロセスを組み込んだ、Human-in-the-Loop型のコマンドラインツールとして機能します。エージェントフレームワークに依存せず利用可能であり、OWS(Open Wallet Standard)にも対応することで、成長するAgentic Walletエコシステムとの相互運用性を確保します。

その基本ワークフローは以下の通りです。
- 申請 (Request): AIエージェントが「N CLI」経由でトランザクションの実行を申請します。
- 承認・署名 (Approve): 担当者が「N Suite」上で取引内容を確認し、承認または却下します。
- 実行 (Execute): 承認後、トランザクションが自動的にブロックチェーン上で実行されます。
このワークフローにより、AIエージェントの自律性と人間による最終判断が両立し、企業のガバナンスポリシーに準拠した運用が実現します。
主な特長
1. MPC(Multi-Party Computation)による秘密鍵保護
「N Suite」はMPC技術を採用しており、秘密鍵は複数のキーシェアに分割され、物理的に異なる環境に分散管理されます。完全な秘密鍵はいかなる時点においても単一の場所に存在しないため、仮にいずれかの環境が侵害された場合でも秘密鍵の復元は不可能です。AIエージェントが「N CLI」を通じてトランザクションを申請する際にも、署名はMPCプロトコルにより安全に生成されます。OWSの現行実装における鍵素材露出のリスクに対し、「N CLI」は署名に必要なキーシェアを物理的に隔離された複数の環境(TEE: Trusted Execution Environment を含む)に分離する「N Suite」の基盤を活用することで、この課題を解決しています。
2. 「N Suite」既存ワークフローとのシームレスな統合
「N Suite」が提供する「申請→承認・署名→実行」のトランザクション管理フローは、すでに多くの企業のブロックチェーン運用に導入されています。「N CLI」は、このフローにAIエージェントからのアクセスを追加するインターフェースであり、既存の「N Suite」環境にシームレスに統合できます。企業は新たなウォレット基盤を構築する必要がなく、既存の運用ポリシーや承認体制をそのまま活用しながら、AIエージェント連携を開始することが可能です。
3. ガス代負担(Paymaster)機能
EIP-7702およびERC-4337に基づくPaymaster機能の提供を予定しています。この機能により、トランザクション実行時のガス代をJPYCやUSDCなどのステーブルコインで支払うことが可能となり、AIエージェントがETH等のネイティブトークン(暗号資産)を保有していなくてもオンチェーン操作を実行できます。企業にとっては、暗号資産の煩雑な会計処理やボラティリティリスクを回避しつつ、ステーブルコインのみでAIエージェントを運用できる環境が整います。
今後の展望
double jump.tokyo株式会社は、AIエージェントが企業のブロックチェーン活用において不可欠な存在となる未来を見据え、「N Suite」のAIエージェント対応機能の拡充を進めていく方針です。また、これらのサービス利活用を推進するため、パートナー企業と共同セミナーの開催やユースケースのリファレンスとなる自社プロダクトの開発も予定されています。

「N Suite」およびdouble jump.tokyo株式会社について
「N Suite」は、MPC技術を活用した高度な秘密鍵管理と、複数人による申請・承認ワークフローを備える企業向けウォレットサービスです。2025年には法人向けウォレットとして国内初となる円建てステーブルコインJPYCへの対応を開始し、マルチチェーンへの対応も進めています。
double jump.tokyo株式会社は、ブロックチェーン技術を活用したゲーム開発実績を持ち、L1ブロックチェーン「Oasys」のメインディベロッパーとして信頼性の高いブロックチェーン基盤構築に携わっています。現在は企業向け分散管理ウォレット「N Suite」を中心に、ステーブルコインや暗号資産の安全な管理・運用を支援し、企業が安心してWeb3を活用できる社会の実現を目指しています。
関連リンク
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N Suiteサービスサイト: https://www.nsuite.io/
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double jump.tokyo株式会社 コーポレートサイト: https://www.doublejump.tokyo/
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本件に関するお問い合わせ: https://www.nsuite.io/ja/contact

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