マンション資産価値の新たな基準:管理品質が未来を左右する
分譲マンションの資産価値は、長らく「立地」や「建物の規模・形態」によって決まるとされてきました。しかし、現代においては「管理状態」がその価値を大きく左右することが、データによって明確に示されています。
マンションリサーチ株式会社は、一般社団法人マンション管理業協会が保有する管理評価データと実際の価格変動データを照合し、大阪府・京都府・兵庫県の分譲マンションを対象に分析を実施しました。その結果、管理の質が資産価値の維持・向上に直接結びついている実態が明らかになっています。人口減少とストック型社会への移行が進む日本において、「管理が価値を左右する時代」が本格的に到来したと言えるでしょう。
老朽化が加速するマンション市場の現実
日本には約14万棟の分譲マンションが存在し、2050年までに約12万棟、すなわち全体の85%以上が築40年を超える見込みです。築40年を超過すると、外壁や屋上防水、給排水管、電気設備といった主要部分の劣化が本格化し、耐震性や安全性への懸念も増大します。また、居住者の高齢化に伴い、管理組合の運営が停滞するケースも増加傾向にあります。このような状況下では、単に立地が良いだけでは資産価値の維持は困難であり、いかに建物を適切に管理していくかが、その将来価値を決定する重要な要素となります。
管理評価と価格上昇の明確な相関関係
こうした背景から注目を集めているのが「マンション管理適正評価制度」です。この制度は、マンションの管理状態を6段階で評価し、第三者の視点から客観的に可視化する仕組みを提供します。

大阪府・京都府・兵庫県の分譲マンションを対象とした分析では、最高評価である「星5つ」のマンションの約7割で価格上昇が確認され、平均上昇率は4.3%に達しました。「星4つ」も同様に高い水準を示していますが、「星3つ」では価格上昇割合、上昇率ともに大幅に低下しています。これらのデータは、管理評価が高い、すなわち管理状態が良好であるほど、資産価値が維持・向上しやすいという事実を明確に裏付けています。
※この分析は、2025年および2024年に実際に取引された中古マンションの価格データを基に、マンションごとの価格変動率を算出し、該当物件に付与されている「マンション管理適正評価制度」の評価点と突合して集計されました。同一物件同士の事例を比較することで、年度ごとの事例のエリアや築年数によるばらつきを排除し、適切な結果を反映することが可能となっています。
所有者と購入者に求められる意識改革
今後、老朽化マンションが急増する時代において、区分所有者や居住者は、自らのマンションの管理状況を正確に把握し、主体的に改善に取り組む姿勢が不可欠です。総会への積極的な参加、長期修繕計画や積立金計画の見直し、管理費滞納への適切な対応など、日々の地道な取り組みが将来の資産価値を大きく左右します。
また、マンション購入希望者にとっても、外観や立地といった表面的な条件だけでなく、管理の質を重視する視点が極めて重要です。マンション管理適正評価制度を積極的に活用することで、安心して住み続けられるか、将来の資産価値を守れるかを見極めることができる時代が到来しています。
筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員
早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社にてマーケティング調査を担当し、その後建築設計事務所で法務・労務に携わる。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定をサポート。大手メディアや学術機関にもデータおよび分析結果を提供しています。
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福嶋総研 公式ページ: https://mansionresearch.co.jp/fri/
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マンションリサーチ株式会社は、2011年の創業以来、「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」、そして「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」を収集してきました。これらのデータを基に、集客支援・業務効率化支援および不動産関連データ販売等を行っています。


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