「第二の大井町」はどこか? 都心周辺のマンション市場ポテンシャルエリアを分析

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【マンション市場】「第二の大井町」はどこか? 都心周辺ポテンシャルエリアを探る

再開発・交通利便性・流動性から読み解く「次に価格が伸びる街」

マンション市場において、次に価格が大きく上昇する可能性を秘めたエリアはどこか。福嶋総研は、2015年1月から2026年3月にかけて東京都23区内の中古マンション約62万件の売出情報を分析し、再開発・交通利便性・流動性の観点から「第二の大井町」となり得るエリアを考察しました。

大井町が再び注目を集める理由

大井町駅周辺では近年、大規模再開発が相次ぎ、大井町トラックスのグランドオープンなどにより街全体が活性化しています。このエリアはもともと交通利便性に優れていましたが、再開発による商業機能と居住機能の強化が進み、街としての魅力が飛躍的に向上しました。中古マンション市場においても、大井町は近年価格が大きく上昇した代表的なエリアとして認識されています。

一方で、不動産マーケットでは「次にどこが大井町のような値動きを見せるのか」という視点が重要です。すでに価格が大きく上昇したエリアを追うだけでなく、同様の構造的条件を持つエリアを分析することで、今後高いポテンシャルを持つ地域を見極めることが可能になります。

大井町の中古マンション価格は都心並みに上昇

大井町駅周辺の中古マンション価格動向を見ると、2001年以降築の物件の坪単価は、都心五区と比較して絶対的な水準では低いものの、その価格上昇のカーブは注目に値します。特に2024年から2025年にかけては、都心五区に近いレベルの急激な価格上昇を記録しており、都心準拠型の価格形成が進んでいることが明らかです。

これは単なる局地的な人気化ではなく、「都心価格高騰の波及」が発生していることを示唆しています。近年の東京都心部では、新築・中古ともに価格上昇が著しく、一次取得層や実需層にとって都心五区での購入ハードルが大幅に上昇しました。その結果、都心へのアクセス性が高く、かつ相対的に価格が抑えられていた準都心エリアへ需要が流入したと考えられます。大井町はこの代表例です。

大井町駅周辺:中古マンション坪単価推移(2001年以降築)

大規模マンション供給が街の価値を押し上げた

大井町では、2018年から2019年にかけて大規模マンション供給が集中しました。この時期には平均戸数の多い大型マンションが複数供給され、街全体の住宅供給の厚みが増したことが分かります。

大井町駅周辺: 新築マンション供給棟数と平均戸数

一般的に、大規模マンション開発は単に住宅供給を増やすだけでなく、街のイメージそのものを変える力があります。タワーマンションや大規模レジデンスの供給は、店舗構成や生活導線を変え、居住人口増加によって商業集積も促します。さらに、一定所得以上の住民流入によってエリアブランドが形成され、中古市場においても価格押し上げ効果が発生しやすくなります。

大井町の場合も、大規模開発による街力向上、都心価格高騰による代替需要、そしてJR京浜東北線・りんかい線・東急大井町線を利用できる交通利便性が相乗効果を生み、価格上昇につながりました。特に品川・大崎・東京方面へのアクセス性は、オフィス回帰の流れとも親和性が高く、共働き世帯を中心に強い需要を集めています。

足元では流動性低下の兆候も

しかし、足元の市場には変化の兆候も見え始めています。平均価格8,000万円以上のシンボリックなマンションの在庫推移を見ると、直近では在庫増加傾向の物件がやや目立つようになりました。

品川区周辺のシンボリックなマンションの在庫推移

在庫が増加するということは、売却物件数に対して成約が追いつかなくなっていることを意味します。これは流動性が低下している状態であり、価格上昇局面が一服し始めている可能性を示唆しています。直ちに価格下落へ転じるわけではありませんが、これまでの急激な価格上昇フェーズから、相場が徐々に沈静化していく局面に入りつつあると言えるでしょう。

「第二の大井町」に必要な3つの条件

では、今後「第二の大井町」となり得るエリアはどこでしょうか。その条件として重要なのは以下の3点です。

  1. 直近で大規模開発が活発に行われていること
  2. 都心アクセスに優れていること
  3. シンボリックマンションの流動性が高いこと

これらの条件を踏まえると、有力候補として江東区内陸部、特に隅田川と荒川に挟まれた東側エリアが浮上します。

江東区内陸部東側が有力候補である理由

このエリアは従来から都心アクセスに優れていましたが、今後は東京メトロ有楽町線延伸計画によって交通利便性がさらに向上すると期待されています。鉄道インフラ整備は不動産価格に極めて大きな影響を与える要素であり、特に「都心直結性」が強化されるエリアは、中長期的に住宅需要が高まりやすい傾向があります。

2020年以降築大規模マンション(100戸以上)の分布

さらに、2020年以降築の100戸以上の大規模マンション分布を見ると、江東区内陸部東側では大型マンション供給が非常に集中していることが分かります。これは超都心部を除けば、東京都内でも有数の供給密集エリアと言えるレベルです。

大規模マンションが集積することで、街並みや商業環境が更新され、人口流入によるエリア価値向上が進みます。また、近年のマンション開発では、単なる住宅供給ではなく、商業施設や広場、防災機能などを含めた「街づくり型」の開発が増えており、エリアそのものの評価が中長期的に押し上げられやすくなっています。

加えて、シンボリックマンションの在庫推移を見ても、江東区内陸部東側では相対的に流動性の低い物件が少ない状況です。例えば、プラウドタワー亀戸クロスブライトタワーやプラウドタワー亀戸クロス ゲートタワーでは、在庫減少傾向が確認されており、高い流動性を維持しています。これは購入需要が依然として強いことを示しており、エリアとしての評価が現在進行形で高まっていることを意味します。

つまり、江東区内陸部東側は、「都心価格高騰による代替需要」「大規模開発」「交通インフラ強化」「高い流動性」という、大井町が価格上昇した際と非常に似た条件を備えているのです。

江東区内陸部東側は次の成長エリアとなるか

もちろん、不動産市場は金融政策や景気動向の影響も強く受けるため、単純に同じ値動きをするとは限りません。しかし、現在の東京都内において構造的な成長条件を備えたエリアを挙げるならば、江東区内陸部東側は極めて有力な候補の一つと言えるでしょう。

大井町がそうであったように、「都心へのアクセス」「大規模供給」「街の更新」「流動性」という条件が重なったエリアは、中長期的に相場を押し上げやすい傾向があります。今後の東京不動産市場を考える上でも、江東区内陸部東側の動向には大きな注目が集まるでしょう。


筆者プロフィール

福嶋 真司氏

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員

早稲田大学理工学部卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行っています。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供しています。

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