テラモーターズ、インド大手マイクロファイナンス機関AROHANと戦略的資本提携を締結

投資

戦略的資本提携の背景と狙い

インドでは、e-リキシャ(電動三輪タクシー)を中心とするEV市場が急拡大している。しかし、女性ドライバーや低所得層ドライバーは十分な信用履歴を持たないため、金融アクセスの面で不利になるという課題が存在する。車両購入に必要な金融サービスにアクセスできず、「信用がないから車両を買えない」「車両を持てないから信用が積み上がらない」という悪循環が発生し、EV普及の大きなボトルネックとなっていた。

テラモーターズは、車両販売と無担保ローンを一体化する「車両販売と金融サービスのエコシステム」を構築し、EV三輪車の購入ハードルを大幅に引き下げることを目指してきた。今回の提携により、アロハンのネットワークやデータ・ノウハウを活用することで、東および北東インドを中心にEV三輪車の販売網をさらに拡大し、EV購入支援の強化、販売可能エリアの拡大、そして販売スピードの向上が期待される。

さらに、現地企業との協業・データ活用は、地域特性が大きく異なり参入ハードルが高いとされるインド、特に北東部への日系企業の事業投資モデルとなる仕組みづくりにもつながると見られている。

提携内容

テラモーターズのEV三輪販売事業では、ドライバーの初期費用をローンで賄うことが不可欠である。本提携により、インド事業の中核である「車両販売 × 無担保ローン」のエコシステムが質・量の両面から大幅に強化される。

1. ローン審査・回収プロセスの高度化と日本企業との協働モデルの確立

アロハンは東・北東部を中心にインド国内17州へ展開しており、その多くが低所得州(Low Income States: LIS)に該当する。同社は独自の信用リスク評価モデル、デジタル化推進、顧客保護原則の最高評価(GOLD Standard)取得など、高い信頼性を強みとしている。

Terra Financeの審査・回収プロセスに、アロハンが保有する信用データ・審査モデル・回収ノウハウを組み合わせることで、ローンの回収率向上と貸倒リスクの低減が図られる。また、マイクロファイナンス領域において日本企業が、事業拡張・事業投資・金融投資を実効性ある形で進めることのできる「協働モデル」を確立し、インド東・北東市場への投資や連携を呼び込む基盤作りを実施していく。

2. EV三輪市場の持続的拡大とサービスの差別化

アロハンが持つ信用審査・回収ノウハウ、200万人超の顧客基盤、17州に広がる支店ネットワークを活用することで、ローン回収率の向上と安心できるファイナンスを組み合わせたサービスの差別化を実現し、低所得層ドライバーへのEV三輪普及拡大を目指す。さらに、「車両販売+マイクロファイナンス」というパッケージの競争力が高まり、アロハンの既存顧客基盤は将来的にテラモーターズのe-リキシャの見込み客データとして活用可能となり、新規顧客獲得コストの最適化にもつながる。

3. 日印経済連携を民間より支援

アロハンが強みを持つ東部~北東インド(コルカタ、アッサム、トリプラ、メガラヤなど)は、日本政府がODAやインフラ支援を通じて長年重視してきた戦略的パートナー地域である。テラモーターズは、同地域でのマイクロファイナンス付きEV三輪の導入を進めることで、日本政府の「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」や日印経済連携の深化にも貢献していく。

今後の展望と見通し

テラモーターズは、インドEV市場における購買層の課題を「金融包摂の次の段階」と捉え、「信頼包摂(Trust Inclusion)」という新たな概念を掲げている。これは、金融サービスへのアクセス拡大に留まらず、信用そのものを生み出す仕組みの構築を目指すものだ。長期的な関係性を前提とした日本型の伴走モデルを、走行・稼働・支払いなどのビッグデータに基づくデジタル信用基盤として再構築し、金融技術と融合させることで、インドの交通×金融インフラとして提供していく構えである。

今回の提携は、このビジョンを実現するための重要なステップとなる。データと金融技術を活用した新たな信用評価と、EV普及を支える持続可能な金融アクセスを両立させ、その環境整備を進める。

*Aadhaar(アダール):インド政府が運営する世界最大規模の個人ID制度。12桁の個人識別番号と生体認証情報(指紋・虹彩)を紐づけ、本人確認(KYC)、金融サービス、行政サービスへのアクセスに広く活用されている。

AROHAN Financial Services Limitedについて

  • 会社名:AROHAN Financial Services Limited

  • 登録形態:NBFC-MFI(RBI登録・非銀行系金融会社)

  • 設立:2006年

  • 本社所在地:コルカタ(インド)

  • 顧客基盤:約200万人

  • 事業内容:低所得層女性・マイクロ事業者向けマイクロファイナンス(JLGモデル)

  • 拠点展開:インド17州以上(うち Low Income States が多数)

  • 特長:独自の信用リスク評価モデル/デジタル化推進/顧客保護原則 GOLD 認定

テラモーターズ株式会社について

テラモーターズは、「EVの力を、人の可能性に。」を掲げ、アジア新興国を中心にEVと金融を融合した新しいモビリティエコシステムを展開する日本発EV企業である。2010年の創業以来、e-リキシャ、e-バイク、e-カーゴの販売を通じ、インドにおける電動モビリティ普及を牽引。現在は、EV販売・アフターサービス・ファイナンスを一体化した成長モデルを構築している。

今回の提携により、日本的信用文化を基盤とする「信頼経済モデル」をアジアで実装し、社会的インパクトと経済的リターンを両立する新たな産業構造を創出していく。

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