2026年の全体的な旅行動向
2026年1年間の日本人の総旅行人数は3億2,250万人と予測され、前年比98.0%の見込みです。国内旅行は旅行人数が3億700万人(前年比97.8%)、平均費用は52,900円(前年比102.9%)、総国内旅行消費額は16兆2,300億円(前年比100.6%)と推計されています。海外旅行は旅行人数が1,550万人(前年比102.6%)、平均費用は317,200円(前年比104.5%)、総海外旅行消費額は4兆9,200億円(前年比107.4%)の見通しです。訪日外国人旅行者数は4,140万人(前年比97.2%)と予測されています。
国内旅行では、物価や宿泊費の上昇が続き、旅行単価はさらに上昇するでしょう。旅行者数はほぼ横ばいですが、単価上昇により総消費額は微増が見込まれます。
海外旅行では、円ドルレートが150円前後で推移する見通しの中、旅行者数の増加ペースは2025年よりも緩やかになると予想されます。近距離志向が続きアジアの比重が高まる一方、一部の遠方目的地でも回復傾向が見られます。アジアでも物価や宿泊費の上昇が継続し、平均単価はさらに高まるでしょう。
訪日外国人旅行者数は、円安や日本の物価水準の低さ、各市場の所得水準上昇、欧米豪における日本人気の高まりを背景としたコロナ禍後の需要急伸が2025年で一段落すると考えられます。2026年の訪日客数は中国・香港からの需要減により前年比2.8%減となる見通しですが、両市場を除けば5.6%増と予測されています。中国・香港の減少が恒常化しない場合、2027年以降は総数が再びプラス成長に転じるでしょう。

旅行者の現状(2025年)
2025年の国内旅行における延べ宿泊者数は、1月から11月までの累計で4億3,854万人泊となり、2024年同期と比較して96.5%となりました。一方、海外旅行の日本人出国者数は、同期間で1,343万人と、2024年同期比113.6%で前年を上回っています。訪日旅行では、同期間の訪日外客数が3,907万人となり、2024年同期比117.0%と堅調な増加を継続しています。国・地域別に見ると、中国、韓国、台湾が上位を占めています。

2025年の1泊以上の旅行実施率は、国内旅行が62.8%で前年より2.3ポイント増加しました。居住地域別では「九州地方(66.3%)」が最も高く、性年代別では「女性29歳以下(73.4%)」が最も高い結果です。
海外旅行の実施率は11.2%で前年より2.5ポイント増加しました。居住地域別では「九州地方(沖縄含む)(16.0%)」が最も高く、性年代別では「女性29歳以下(22.8%)」が最も高い傾向を示しています。

2026年のカレンダーと主要イベント
2026年は3連休以上が8回あり、特にゴールデンウィーク(5月2日~6日)とシルバーウィーク(9月19日~23日)には5連休が設定されています。年末年始も12月28日~31日を休めば9連休となり、2025年と比較して大型連休が多い年となるでしょう。

主なイベントとしては、「ワールドベースボールクラシック(WBC)」の開催や、愛知・名古屋でのアジア・アジアパラ競技大会が予定されています。アートイベントでは「TOKYO ATLAS」や「前橋国際芸術祭2026」が新たに始まるなど、各地で多様なイベントが計画されています。海外ではミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピック、FIFAワールドカップ™、サグラダ・ファミリア完成記念式典が注目を集めるでしょう。
新規開業施設では、よみうりランド内に「ポケパークカントー」がオープンし、東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパンは開園25周年を迎えます。宿泊施設では「帝国ホテル京都」や「カペラ京都」が開業し、ラグジュアリーな滞在の選択肢が増加します。交通関連では、クルーズ船「三井オーシャンサクラ」が就航し、移動そのものが旅の楽しみとなるサービスが拡大するでしょう。

国内旅行の動向
2026年の国内旅行人数は3億700万人(前年比97.8%)、一人あたり旅行費用は52,900円(前年比102.9%)、国内総旅行消費額は16兆2,300億円(前年比100.6%)と予測されています。給与の伸びが緩やかである一方で、物価や宿泊費の高騰が継続するため、国内旅行単価はさらに上昇するでしょう。これにより、旅行者数はほぼ横ばいですが、総消費額は単価上昇により微増する見込みです。
2026年の国内旅行実施意向は、性年代別では「女性70代(79.2%)」が最も高く、居住地域別では「九州地方(77.5%)」が最も高い傾向を示しています。

国内旅行に「一度も行かない」と回答した人の主な理由は「家計に余裕がないから(33.5%)」、「旅行費用が高いから(29.6%)」など、費用面が上位を占めています。「旅行費用が高いから」は前年より6.2ポイント上昇しており、特に女性の50~60代で旅行費用の高さが障壁となっているようです。

旅行先を決めるきっかけとしては、「自然が楽しめる場所(30.0%)」、「寺社仏閣、史跡などの歴史スポット(24.1%)」が上位です。若い世代では動物園や水族館、テーマパークの人気が高い傾向が見られます。現時点での旅行先候補は「中部(33.7%)」、「九州・沖縄(31.9%)」、「関東(29.8%)」が上位となっています。

海外旅行の動向
2026年の海外旅行人数は1,550万人(前年比102.6%)、一人あたり旅行費用は317,200円(前年比104.5%)、海外総旅行消費額は4兆9,200億円(前年比107.4%)と予測されています。円安や物価高騰の影響により、海外旅行の回復は2025年よりも鈍化する見込みです。旅行者は徐々に円安を受け入れつつあり、アジアへの旅行が引き続き多い一方で、一部の中長距離目的地でも回復傾向が見られます。アジアでも物価や宿泊費の上昇が続くため、平均旅行単価はさらに高まるでしょう。
2026年の海外旅行実施意向は23.0%で、前年より2.0ポイント増加しました。性年代別では「女性29歳以下(35.9%)」、次いで「男性29歳以下(30.9%)」と若年層が高い意向を示しています。居住地域別では「関東地方(26.9%)」、「九州地方(26.6%)」、「近畿地方(25.4%)」が上位です。

現時点での海外旅行先候補は、「韓国(26.7%)」が最も高く、次いで「台湾(21.0%)」と近隣国・地域が人気です。一方で、「ヨーロッパ(18.7%)」、「ハワイ(18.1%)」など中長距離も人気を集めています。
海外旅行に「一度も行かない」と回答した人の77.0%が経済的な理由を挙げており、「旅行費用が高いから(36.5%)」、「家計に余裕がないから(26.5%)」、「円安だから(21.2%)」が上位です。経済的な理由以外にも、「言語の問題」や「出入国手続きが面倒」といった心理的な要因も障壁となっています。

訪日外国人旅行者の動向
2026年の訪日外国人旅行者数は4,140万人(前年比97.2%)と予測されています。コロナ禍後の回復過程と円安の追い風により、2025年には過去最高を記録しましたが、急激な需要回復は一巡し、今後の伸び率は落ち着く見込みです。特に中国・香港からの需要減が加わり、2026年は前年を下回るでしょう。詳細については、JTBが同日に発表した「訪日旅行市場トレンド予測」を参照してください。
https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2026/01/08_jtb_inbound_outlook
訪日外国人観光客増加に対する日本居住者の意識調査では、「観光地でのマナーが悪くならないか不安だ(51.3%)」、「住んでいる人の生活に影響が出ないか不安だ(41.0%)」など、不安に感じる声がシニア層で高くなっています。一方で、「日本経済全体の活性化につながるので歓迎だ(24.0%)」といった歓迎の声も若い世代で比較的高い傾向が見られます。

旅行を取り巻く経済環境と暮らし向き
複数の経済研究機関の予測によると、2026年度の実質GDP成長率は概ね+0.7%から+0.9%程度と見込まれており、日本経済は緩やかな回復基調が続くでしょう。堅調な設備投資やインバウンド需要の継続が成長を下支えする要因です。物価上昇率は2025年をピークに鈍化し、人手不足を背景とした高い賃上げが個人消費を底堅くすると期待されます。
一方、米国の関税引き上げ、国際情勢の緊張、世界経済の減速、円安によるGDPの目減り、国内の人手不足、低い生産性、財政健全化といった課題が下振れリスクとして存在します。総じて、2026年の日本経済は内需の底堅さにより緩やかに成長するものの、海外リスクや国内の構造問題への対応が鍵となるでしょう。
円ドル為替レートは2025年も円安・ドル高が継続し、12月には155円前後で推移しています。海外旅行を実施する気持ちになる円ドル為替レートに関する調査では、「為替に関係なく海外旅行を検討する」と回答する人が増加しており、円安への受容が進んでいる様子がうかがえます。日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」によると、2025年9月には「ゆとりが出てきた」の割合が上昇し、暮らし向きはやや改善しましたが、2021年以前の水準には戻っていません。今後1年間の旅行支出意向については、「支出を増やしたい(23.6%)」が「支出を減らしたい(11.4%)」を上回っています。

まとめ
2026年の旅行市場は、国内旅行の単価上昇と海外旅行の回復鈍化、そして訪日外国人旅行者数の変動が主な特徴となるでしょう。経済状況や為替レート、消費者の意識が複雑に絡み合い、旅行業界は新たな局面を迎えることになります。今後の動向を注視し、変化に対応した戦略が求められます。

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