日本の就労者は短期的な未来に楽観的、しかし退職後の備えとAI活用に課題が浮上【フィデリティ調査】

投資

日本の就労者の「楽観」と所得による意識差

今後6か月という短期的な見通しに対し、日本の就労者の42%が「楽観的」と回答し、「悲観的」と回答した33%を上回った。物価高や経済不透明感が続く状況下でも、悲観優位には傾いていないことが判明している。しかし、この楽観的な見方は収入階層によって顕著な差があり、高所得層では57%が楽観的であるのに対し、低所得層では22%にとどまっている。

インフレと生活費の上昇が最大のストレス要因に

日本の就労者にとって最も強いストレス要因は、生活費の上昇とインフレ(17%)であり、次いで経済状況(15%)が続く。これらの要因は日常生活のみならず、職場での集中力にも影響を与えている。最近の貯蓄額減少の理由として、63%が「家計費の増加」を挙げており、食料品、光熱費、居住費といった生活必需品の価格上昇が家計に負担をかけている状況がうかがえる。一方で、32%が日々のお金の管理には自信があると回答しており、短期的なお金の管理には一定の安定が見られる。

退職への備えと投資への自信不足が依然として課題

多くの生活領域については「良好」との回答が見られたものの、「貯蓄」と「退職後の備え」に関しては相対的にネガティブな評価であった。資産形成や退職後の準備に対する不安は根強く、準備が十分とは言えない状況が続いている。また、投資や退職資金形成に対する自信が低い中、金融に関する情報や助言を友人・家族・SNSなどに求める人が多く、専門家から助言を受けた人は42%にとどまっている。この「知識ギャップ」と「行動ギャップ」は、過去の調査から継続的に見られる日本特有の傾向である。

自身の現在の状況評価

65歳を節目とする定年観と、退職後も働き続けたいという意向

日本の就労者が想定する退職年齢の中央値は65歳であり、退職後に必要と考える資産額の中央値は3,000万円であった。必要資産額は収入階層により大きく異なり、高所得層では5,000万円、低所得層では1,500万円と見込み額に差がある。退職後の備えのための貯蓄開始年齢の中央値は38歳であった。退職後も働き続けたいと考える人は39%にのぼり、その最大の理由は「社会とのつながりを維持したい」(52%)であった。経済的理由はこれに次いで重要視されている。また、退職後の最大の懸念として最も多く挙げられたのは「健康問題」(51%)であり、健康が老後設計における重要な要素として認識されている。

仕事への満足度は低水準、離職意向は限定的

仕事全体への満足度は、「満足」が21%、「不満」が27%と、不満が満足を上回る結果となった。収入が高いほど満足度も高まる傾向が見られ、高所得層では33%が満足である一方、低所得層では49%が不満と回答しており、収入と満足度の関連性が確認された。

離職意向に関しては、6か月以内に離職を予定する人は全体で11%、高所得層でも11%、低所得層でも16%にとどまっており、多くの就労者が現職に留まる見通しであることが示されている。離職理由では「給与への不満」が最も多く、特に若年層では「休暇日数の不足」も主要な要因となっている。

AI活用における国際的な遅れが鮮明に

今回新たに調査項目に加わったAI関連では、職場においてAIツールにアクセスできる人は39%にとどまり、グローバル平均の61%やアジア太平洋地域の66%を大きく下回っている。さらに、職場におけるAIツールの環境整備も課題となっている。自身のデータを保護するためのセキュリティ対策が優先事項とされていると感じる人は33%、責任あるAI使用のトレーニングを受けられる人は20%、上長・経営陣からAI活用を奨励されている人は21%にとどまっており、体制整備、認知、教育のいずれにも改善の余地が見られる。

職場でのAIツール利用状況と環境

フィデリティ投信のコルビー・ペンゾーン代表取締役社長は、調査結果について、日本の就労者が短期的な将来に対して楽観と自信を保っている一方で、貯蓄や退職後の備えに関しては他地域とのギャップが依然として存在すると指摘している。計画的な準備を早期に開始することが、退職後の生活の在り方を左右する可能性を強調し、フィデリティ投信は金融リテラシー向上に向けた情報発信や、ライフステージに応じた金融ソリューションの提供を通じて、日本の人々を継続的に支援していく方針である。

調査概要と関連情報

「フィデリティ・グローバル・センチメント・サーベイ」は、フィデリティ・インターナショナルが世界35の国・地域の就労者38,000人超(日本2,000人)を対象に、ウェルビーイング、家計支出、退職後の備え、現在の仕事、AIの職場での活用状況などに関して尋ねた調査である。データ収集は2025年9月~10月、レポート作成・分析は2025年11月~12月に、Opiniumと共同で実施された。

  • 調査対象:20~75歳のフルタイム/パートタイム就労者、日本は世帯年収150万円以上

  • 年齢区分:若年層(20~38歳)/中堅層(39~54歳)/高齢層(55~75歳)

  • 所得区分:低所得層(年収500万円以下)/中所得層(500万円超~1,100万円以下)/高所得層(1,100万円超)

フィデリティ投信株式会社は、独立系資産運用グループのフィデリティ・インターナショナルの一員として、投資信託および企業年金や機関投資家向け運用商品・サービスを提供する資産運用会社である。フィデリティ・インターナショナルは、世界で280万以上のお客様に投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供し、運用管理総資産額は約140.4兆円(8,932億ドル)に上る(2024年12月末日現在)。

詳細については、以下の関連リンクを参照のこと。

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